オンラインゲームユーザーがモバイル端末に流出?版権の正規化とコンテンツの映画化がトレンドに

モバイル端末

2016年6月時点の中国のオンラインゲームユーザーは3億9100万人で、2015年12月とほぼ同一水準を保った。インターネットユーザーに占めるオンラインゲームユーザーの比率は55.1%で、昨年末に比べ若干下降。一方モバイルオンラインゲームユーザーは3億200万人で、増加率は2014年12月以来最高の8.3%に達した。モバイルインターネットユーザーに占めるオンラインゲームユーザーの比率は46.1%だった。

オンラインゲームユーザー全体では伸びがなかったものの、モバイルに限って言えばその増加率は1年半ぶりの高水準であったことから、オンラインゲームユーザーがPCからモバイル端末に流れる趨勢が顕著になっていることが分かる。2016年上半期にオンラインゲームユーザーがPCを使用した割合は昨年末の67.7%から61.4%に下降した。
一方、モバイル端末については同71.3%から77.3%に上昇した。2016年8月3日付の人民網では、今後もモバイル端末用ゲームのクオリティが上がり、ユーザーも引き続き増加することが予想されるが、PCはモバイル端末に比べてマンマシンインタフェースの面で他に替え難いアドバンテージを有することから、モバイル端末が完全にPCに取って代わることは難しい、としている。

2016年6月、国家新聞出版広電総局は≪モバイルゲームリリースサービス管理についての通知≫を公布し、モバイルゲームが審査・批准を受けて初めてリリースできる旨を明確化した。これにより、携帯ゲーム産業の発展の支障となってきた著作権等の権利侵害問題が改善される見通しだ。同通知はまた、モバイルゲームの審査・批准の際にゲームの認可番号(※国家新聞出版広電総局が審査後に付与)を提出しなければならない旨も定めており、これによりモバイルゲーム開発のハードルが引き上げられると見られている。またオンラインゲーム大手が知的財産権保護に関するアクションをより強化し始めたのも2016年上半期の特徴だった。
このほか、オンラインゲームと他のエンターテインメントとの融合が加速しているのも特徴的である。

2016年上半期、有名なPCゲーム「World of Warcraft(中国語:魔獣世界)」の映画版が中国市場でヒットし、オンラインゲームをベースとした映画作品が注目を集めた。これにより、優良コンテンツを持つテンセントなどの大手ゲームメーカーは、次々とオンラインゲームの映画化戦略を打ち出している。

中国におけるこうした「IP(Intellectual property=知的財産権)ブーム」は徐々に高まりを見せており、その熱い視線は日本など海外へも向けられつつある。今後の動向に要注目だ。

(日本アイアール A・U)