著作権ビジネスがVCの有望な投資対象に?いま注目の「維権騎士」とは?

権利侵害

今年の≪中国で最も投資価値のある企業50社≫(以下、「V50」)に選ばれた、「維権騎士」が注目を集めている。

「維権騎士」はウェブライターなどに対し著作権管理・保護サービスを提供することを目的に設立された企業で、創業から2年足らずの若い会社だ。
2016年10月25日付の映象網によると、V50は中国のベンチャーキャピタル(VC)業界の動向を占う最も権威あるイベントとして知られており、これまでに選出されたインターネット金融の易宝支付などはいずれもVC界において一世を風靡する存在となった。

維権騎士のランクインは、著作権サービスが有望な投資対象になったことを意味するのか?

国家版権局は今年に入ってからネット文学の権利侵害行為の取り締まり強化に重点を置くことを強調しており、9月には中国ネット文学著作権管理連盟が発足している。

この動きをチャンスと見る向きも多く、今年インターネット著作権業界の新興企業が急増、数十社が融資獲得に成功した。そのような中、オウンドメディアなどに著作権サービスを最も早くから提供してきた維権騎士は、すでに2件の融資獲得に成功、登録ライターは4,300人、カバーするオリジナル記事の総数は32万篇に及ぶ。

しかしこうした急速な発展を横目に、著作権サービスの前途に疑問を唱える人々もいる。著作権サービスを全うするにはまず国民の著作権に対する認識を変えなければならず、わずか数社がこれを短期間で成し遂げることは難しいだろうというのが彼らの言い分だ。しかし、長らく海賊版の存在に悩まされてきた音楽著作権業界の状況が、2010年の関連規定公布以来、大いに改善していることを考えると、前途は必ずしも暗いとは言えないであろう。

激増するオウンドメディアプラットフォームへの対応がカギ?

2012年8月にWe Chatオフィシャルサイトが公衆号(オフィシャルアカウント)をリリースして以来、オウンドメディアプラットフォームは爆発的に増加、早期参入組のポータルサイト「今日頭条」などのほか、騰訊(テンセント)や網易(ネットイース)なども次々と自らのオウンドメディアプラットフォームを開設している。「今日頭条」のオウンドメディアプラットフォームのライターは既に15万人を突破した。しかしこのようなライターの激増とともに、オウンドメディアの質にも大きな偏りが出始めている。

こうした状況を受け、オウンドメディアプラットフォームはサードパーティの著作権サービス業者との提携を模索し始めている。維権騎士はこの流れを敏感に嗅ぎ取り、十数社と提携関係を結んだ。オウンドメディア、そして著作権サービスの発展とともに、両社の提携関係はさらに深まっていくだろう。

こうした動きの下、著作権サービスがVCの有望な投資対象になるのか、見極めにはもう少し時間が必要なようだ。

(日本アイアール A・U)