1.序言

判読障碍者に作品を提供するに便利を提供し、判読障碍者が平等に社会生活に参与することができ、文化発展の成果を共有させるために、2022年5月5日からマラケシュ条約が中国で有効になりました。マラケシュ条約のより順調な実施のために中国著作権法およびマラケシュ条約に基づいて中国版権局は「無障害方式で判読障碍者に作品を提供する暫定規定」を制定しました。

2.無障害格式版の作成及び判読障碍者へ提供する条件(3条)

既に発表された作品を著作権者の許可を得ず、且つ報酬を支払わずに無障害格式版に作成し、判読障碍者に提供するためには、以下の条件を満たさなければなりません。

(一)作者の氏名、名称、作品の名称を明記すること

(二)合法的な方法で得られた作品を使用すること

(三)作品の同一性を尊重し、判読障碍者が感知し、かつ有効に使用するに必要な修正以外にはその他の修正はしてはいけないこと

(四)作品名称の中に明確な方式で「判読障碍者専用」と明記すること

(五)特定ルートにより証明を提供することができる判読障碍者、または無障害格式版サービス機構のみに提供することができ、その他の者、組織に提供またはサービスを提供することができないこと

(六)身分認証、技術措置等の有効手段を通じて、判読障碍者以外の者、組織が取得、伝播することを防ぐこと

(七)判読障碍者に提供する無障害格式版の類型はその合理的な需要に満足することのみに限る

(八)営利を目的としないこと

(九)その他の方式で作品の正常使用に影響与えないこと、不合理的に著作権者の合法的権益を損害しないこと

3.無障害格式版の制作方法(5条)

無障害格式版の制作、提供、国境を超えて交換するには適当な方式で著作権者に告知すべきであり、作者の氏名又は名称、作品の名称及び制作、提供の方式、数量、提供対象等を完全に、正確に記録し、著作権者及び国家主管部門に閲覧するに供する。記録は少なくとも3年間保留しなければなりません。

情報の記録、提供する際には「中華人民共和国個人情報保護法」の規定を遵守し、判読障碍者の個人情報を平等に保護しなければなりません。

4.法的責任(12条)

本規定を違反し、作品の正常使用を影響し、または不合理的に著作権者の合法権益を損害した場合、著作権法52条、53条規定により民事責任を追及すべきであります。同時に公共利益を損害した場合には著作権主管部門が行政責任を追及することができます。犯罪を構成する場合には刑事責任を追及することができます。

5.まとめ

以上は中国がマラケシュ条約の締約に備えて制定した暫定規定であります。判読障碍者が平等に文化発展の成果を共有できるよう、著作権法、マラケシュ条約、暫定規定を合わせて適用し、より順調な実施をするに寄与する規定であります。

※国版発〔2022〕1号 国家版権局の「無障害方式で判読障碍者に作品を提供する暫定規定」の発行に関する通知 2022年8月1日施行

https://www.ncac.gov.cn/chinacopyright/contents/12233/357144.shtml

(日本アイアール株式会社 F・K)