【周杰倫の版権紛争】テンセント・ミュージックの音楽著作権をめぐる侵害訴訟

テンセントミュージックの著作権訴訟
中国裁判文書網は先日、テンセント・ミュージック・エンターテイメント・グループ(TENCENT MUSIC ENTERTAINMENT GROUP) と網易雲音楽(NetEase Cloud Music)ら(被告3社)との音楽著作権侵害をめぐる係争について判決文を公表しました。

 

裁判所は、被告(NetEase Cloud Music Technology Co.、Ltd. Hangzhou LeRead Technology Co.、Ltd.、およびGuangzhou NetEase Computer System Co.、Ltd.)が、原告テンセント・ミュージックに判決の日から5日以内に、経済的損失および侵害を排除するための合理的な費用、合計850,000元を原告に賠償せよと判断しました。

 

本案の起因

原告は,SURELEGENDINTERNATIONALLIMITED(以下SL社とする)から本案に係る著名な芸能人である周杰倫(ジェイ・チョウ、Jay Chou)等の録音製品に関する公衆送信の独占実施権を許諾され、自己名義で権利主張をし、訴訟を行う権限を有しています。

 

原告は2017年に被告に対し、本案に係る録音製品の公衆送信権の実施権を許諾しました。しかしながら、被告は実施許諾期間が満了した後にも本案に係る歌曲をオンラインで有料販売し、原告の警告があったにも関わらず販売を続けたことに対し、原告は差止請求、損害賠償(経済損失及び権利主張に支払った合理的費用を合わせて499万元)、謝罪広告、影響の排除を求めた事案です。

 

 

原告の訴え

原告は、本案に係る歌曲の録音製品に関する公衆送信権の独占的実施権を有しています。
2017年に被告に実施権を許諾しましたが、2018年3月31日に原告は被告に対し実施権許諾期間が満了したため、当日に双方の契約に基づいて全ての歌曲を即時にオフライン化(削除)することを被告に電子メールにより書面通知をしました。

 

しかしながら、被告は権利期間が満了したことを知っているにも関わらず、200曲を含んだ「周杰倫のトップソングコレクション」という偽デジタルアルバムを作成し、網易雲音楽サイトや網易雲音楽PCクライアントなどを通じて有料販売を開始しました。

 

さらに,被告は公式ウェイボーおよび網易雲音楽リトルセクレタリーを通じて、インターネットユーザーに400元/枚の価格で購入すれば永久無料で聴くことができると強く推奨し、侵害行為を公然に実施し、侵害行為を通じて市場を占有し、不法利益を得ようとしました。その後、世論の圧力によって販売行為は停止したものの、元アルバムのままでユーザーにオンラインプレイやダウンロードのサービスを提供しました。

 

原告は、被告は中国内で一流の会社でありながら、複数回にわたり原告の著作権を侵害し、司法機関及び行政機関の否定評価を受けたにも関わらず、再び原告の権利を侵害するのは明らかに侵害の悪意があると主張し、侵害の差止め、損害賠償、謝罪広告、影響の排除を求めました。

 

 

被告の反論

一方、テンセント・ミュージックの訴えに対し、被告のLeRead は、本件に関わる行為の期間は非常に短く、実際にダウンロードするユーザーの数も非常に限られており、LeReadは実際に利益を得ず、上述行為も深刻かつ重大な結果を引き起こしていなかったと述べました。

 

さらに、LeReadは、主観的な侵害の意図がないと主張しました。
その理由は、両当事者の3回目の許可期間が切れる前に、被告が原告に2018年3月8日に契約の更新要求を発行して原告に見積りを求めているが、原告が明示的に許可を拒否したことがないためです。
加えて、両当事者の過去の協力と実際の慣行を考慮すれば、許可は取得できろうと信じるのはあらゆる理由があると述べ、たとえ取得できない場合であっても、相当な対応期間があるべきと講じました。

 

深圳前海合作区人民法院の判決

裁判所は、両当事者が署名した録音製品に関する契約が2018年3月31日に失効した後、網易雲音楽は法的根拠なしにダウンロードサービスを提供し続け、当該行為は侵害であると判示しました。
さらに、網易雲音楽が削除の通知を受け取った後、ユーザーが同日23時44分に公式ウェイボーを介して関連する曲をすぐにパッケージ化して購入することを推奨したことは明らかに悪意のある侵害行為であると解しました。

 

なお、本件訴訟に関わる録音製品の人気度、被告の主観的な過失レベル、経営の規模、侵害行為の性質、期間、および結果などの事実を総合的に考慮したうえで、裁判所は、网易云音乐がテンセント・ミュージックに対して各録音製品に1曲あたり4,500元(※全部で178曲ある)の経済的損失を補償すると裁定しました。
さらに、原告の弁護士費用30,000元を含む侵害差止めのために発生した合理的な費用(公正費用2回を含む)を約49,000元と算定し、前記の経済損失と合算して、合計で850,000元の賠償となりました。
その他、訴訟費用の46,720元も被告らの負担となりました。

 

(2019/12/16 日本アイアール B・Y)

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